「何か」をとらえたくて

31.jpg水彩画を発表するようになって、よく「どうして版画から水彩もするようになったのか」と聞かれる。
特に花など具体的なモノを描くようになったのは、成り行きで水彩画の講座を持つようになって必要に迫られたからだけれど、しかし、前々から水彩には魅力を感じてよく使って描いていた。
私ははじめ油絵を勉強していたのだが、どうも、あのどろどろとした感触が好きになれずにいた。モノを感じ取るのに人には視覚型と触覚型があって、その割合は(視覚)7:(触覚)3だったかとおぼろげに記憶しているが、私は触覚型のようだ。上は1985年、受験生のころに描いたイワシの木炭デッサン。木炭の他に水やらベンジンやらインクやら、偶然を引き起こせるものをいろいろ使って勝手に実験して描いていたのだが、自分の描きたい空間の基本はこのあたりから始まった気がする。目でみたものより、触って感じる物のほうに興味が湧く。触覚を頼りにものを描く、目で触る・・・。するとやはり画面にもそういった要素が欲しくなる。銅版画の物質としての強さや、マチェールは、油よりも自分の感覚にしっくり来た。そして、更にいろんな素材への興味が広がっていった。
しかしもう1つ、色がない。版画ばかりだと、色に対してかなりストイックな作業となり、何かで発散したくなる。水彩は物質感は弱いが自分の求める空間を出しやすく、色の自由さがある。

自分の描きたい空間は、どんな素材を用いるとよいのか。そんな試行錯誤から、いま、こうなっている。さて、これからどうなるか。。。

2009.11.8

「「何か」をとらえたくて」への2件のフィードバック

  1. 展覧会 お疲れ様。心しか、銀座にいけなっかったけど、進化するのうちゃんに、励まされています。今の、のうちゃんの、透き通った色の世界は、けっこう長い歳月をへて広げた世界、、、そんなふうに思います。お互い歳を意識しちゃうね。のうちゃんの、これから、、、、も、楽しみにしています。のうちゃんの絵を見ていると、私も、ひとつひとつ、目の前のことを、丁寧にやって、積み重ねていかなきゃ、、なんて、そんなこと、思うよ。家事にパートに、明日もがんばろうと。おやすみなさい。

  2. ふふ、こんなに昔の載せちゃっていいのか?とも思いましたが、でもずっと続いているもんだからね。
    殊に今このページに載せている水彩画はこの頃の事が大いにリンクしているのではないかと、思います。

    なんだかね。へこんでいた時、chonにいろいろ励まされたの、思い出すよ・・・。

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