展示

むかし油絵を描いていて、重たい空間に耐えられなくなった時期があった。油特有の感触、重たい空間、イメ-ジ性、への鬱屈感。そこで取り敢えず選んだ版画。一筆一筆塗り重ね、時間が充積していくタブロ-とは違って、版画はうすっぺたいインクの層が透けて見える、薄く浅い空間になる。銅という金属物質の硬い質感にも惹かれた。視覚的なものより、触覚的なものへの興味。平面からはなれずに物質性を強く出したい。そして、イメ-ジ性の排除。そんなことを20年くらいモヤモヤ考えて試行錯誤。

もうすぐ個展。前回(一昨年前)のは展示部屋1つが作品、全てが繋がって1つという構想だったけれど、今回は「紙作品」、「版画」、というように仕事を分けて展示してみようかと。紙のしごと、版画のしごと。方法がちょっと違うけれど、目指すものは同じ。そもそも作品とは、物的媒体(素材)-感覚的表面(形態)-題材-象徴性の4つの要素が互いに結びついて現象関係にある有機的統一体。
発色のよさに惹かれて絵具を買い集めることからはじめた水彩画。透明水彩で描くようになってから、空気の掴み方や、色の使い方もちょっと変わってきたような気がする。結局、全てがリンクしている。それにしてもあれこれ考え、逡巡しているようだけど、実際作品つくっているときは、頭からっぽ

2005/10/19